「思考は現実化する」を信じて、苦しくなっていませんか?
「思考は現実化する」
この言葉、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。自己啓発書のベストセラーや、成功者のSNSでよく見かける言葉です。
でも正直に言います。
この言葉で、苦しくなっている人がたくさんいます。
今日は、「思考は現実化する」という言葉の”光と影”について、心理学の視点も交えながらお伝えしたいと思います。
「ポジティブに考えなきゃ」という呪い
「思考は現実化する」という考え方が広まった結果、こんなことが起きています。
不安を感じたとき→「ネガティブなことを考えちゃダメだ」 落ち込んだとき→「こんな気持ちじゃ現実が悪くなる」 うまくいかないとき→「思考が足りないせいだ、私のせいだ」
ポジティブ思考を強要されることで、ネガティブな感情を感じること自体が「悪いこと」になってしまうのです。
これを心理学では「感情の抑圧」と呼びます。感じてはいけないと思った感情は、消えるのではなく、心の奥底に押し込まれて、じわじわとエネルギーを奪っていきます。
思考だけでは現実は変わらない
心理学的な視点からはっきり言うと、思考だけで現実が変わることはありません。
ハーバード大学の研究では、目標を達成したところを頭の中でイメージするだけでは、むしろ達成率が下がるという結果が出ています。脳が「もう達成した」と錯覚して、行動へのモチベーションが下がってしまうのです。
「思考は現実化する」の本当の意味は、「ポジティブに考えれば願いが叶う」ではなく、「思考が行動を変え、行動が現実を変える」ということ。
思考はあくまでも、行動の出発点に過ぎないのです。
ネガティブな感情を感じていい、本当の理由
「不安」「恐れ」「悲しみ」——こういったネガティブな感情は、決して悪者ではありません。
今日のコミラボでもお伝えしたことですが、感情は心からのメッセージです。
不安は「大切なことだから慎重に準備して」というサイン。 悲しみは「あなたにとって本当に大切なものがここにある」というサイン。
怒りは「あなたの大切な何かが傷ついている」というサイン。
ネガティブな感情を「消さなければいけないもの」として扱うのではなく、「何かを教えてくれているメッセージ」として受け取る。
それだけで、感情との関係がガラリと変わります。
本当の意味での「思考と現実」の関係
では、思考はどう使えばいいのか。
心理学者のガブリエル・エッティンゲンが提唱する「WOOP理論」が参考になります。
- Wish(願い):何を実現したいか
- Outcome(結果):実現したらどうなるか
- Obstacle(障害):何が邪魔になるか
- Plan(計画):障害が起きたらどう対処するか
ポイントは、ポジティブなイメージだけでなく、「障害」もしっかり想定すること。
理想を描きながら、現実の壁もちゃんと見る。この両方があってはじめて、思考が行動につながっていくのです。
今日からできる3つのこと
1. ネガティブな感情に「名前をつける」 「なんか不安」で終わらせず、「これは〇〇が心配という気持ちだ」と言語化する。感情を否定せず、ただ認める。
2. 「できたこと」に目を向ける習慣をつける 「まだできていない」ではなく「ここまでできた」。小さな前進を毎日ひとつ見つける。
3. 理想と障害を両方書き出す 「こうなりたい」という理想を書いたら、「そのために何が必要か、何が邪魔になりそうか」もセットで書く。
「思考は現実化する」の正しい使い方
この言葉の本当のメッセージは、こういうことだと私は思っています。
「あなたが何に意識を向けるかが、あなたの行動を決め、行動があなたの現実をつくる。」
ポジティブ思考を強要するものでも、ネガティブな感情を否定するものでも、ない。
自分の感情に正直に向き合いながら、それでも前を向いて一歩踏み出す。その積み重ねが、現実を少しずつ変えていくのだと思います。
苦しいときは、無理にポジティブにならなくていい。
まず、今の自分の気持ちを、そのまま受け止めることから始めてみてください。
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